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月川拓海の世界 2020/10/27

iCloneベンダーへの道 (2) ベンダーが使ってもいいものとダメなものについて

 written by 月川拓海 投稿日時:2020/10/27(火) 18:42

iClone用の Merchant Resourceの話に入る前に、一般的にベンダーが自分の商品を作る時に使ってもいいものとダメなものについてお話しておきます。

原則として次の4つのものを使うことができます。これら以外を使うことは違法になります。
1. Merchant Resource(MR):Merchantというのは、商人とか事業者とかいう意味で、ネットショップを運営する個人や企業などを指す言葉です。Resourceというのは資源。MRはそのまま使っても、加工して使ってもいいという製品です。製品によっては、そのまま使うのはダメとか、加工して使うのはダメというのもあるので気を付けてください。
2. パブリックドメイン:知的財産権が発生していない状態または消滅した状態のもので、著作権が存在せず、誰でも自由に使用でき、クレジットの表記も不要、改変や再配布することが可能な著作物。
3. CC0(Creative Commons Zero ):著作物の適正な再利用の促進を目的として、著作者がみずからの著作物の再利用を許可しているもので、フリー、商用利用・改変可能・再配布可能なライセンスを持つテクスチャなど。
4. Clip Studioの素材や「メガ盛り!テクスチャー&パターン攻略集」の素材などの特別な素材。これらでは、素材そのものを加工、改変しないで配布等することは禁止ですが、加工、改変した素材については、配布等することが許可されています。

ここで注意しなければならないのは、「商用利用可」という言葉です。たいていの「商用利用可」の素材は、「再配布(二次配布)は不可」になっています。なので、ベンダーが自分の商品の中にこれらを使っていると、再配布をしたことになり、著作権法違反になります。このことはプロのベンダーさんでも知らなかったりすることがあるようで「この商品の中のテクスチャは全部、商用利用可のものでつくりました」と書いておられたのを見て驚いたことがあります。販売サイトの責任者は気づいておられないのだと思います。

iCloneのベンダーさんの中に、DAZキャラクターをiClone用のキャラクターに変換して販売しておられたことがあります。DAZキャラクターの中にはDAZの著作権が入っているので、著作権法違反になります。DAZのExportライセンスを買えば売ることができるかもというのも、はなはだしい勘違いで、DAZのExportライセンスとは、ゲームやVRなどで使用する場合の追加ライセンスです。Exportライセンスを買ってもDAZの製品をiClone用に変換してマーケットプレイスで販売することはできません。

iCloneのベンダーは、基本的にDAZのG8Fなどのキャラクターの本体もモーフもテクスチャも使ってはいけません。DAZベンダーである月川が自分でつくったキャラクターであるEricaなどでも同様です。Ericaの中にはDAZの素晴らしい財産であるG8Fの形態とUVマップ情報が入っていて、それらなしにEricaは存在しえないからです。

iCloneでベンダーを始める場合は、こういったことを頭にしっかり叩き込んでおかないといけないです。下手でもいいです。売れなくてもいいです。違法なことだけは絶対にしてはいけないのです。

それでは、ベンダーの命綱であるMRは、iCloneの場合どこにあるのかというと、Character Creator 3の中に少しあります。もっと大容量のMRはアルティミット・デジタルヒューマン 4-IN-1 セットで、モーフとテクスチャが非常に豊富に含まれています。これをiClone用のMRとして使えるのかどうかをReallusionにお尋ねしたところ、使えるという回答をいただきました。なお、「Reallusion社のコンテンツを使用して加工した商品の場合、Reallusion社のマーケットプレイスでのみ販売でき、他の場所では販売できない」そうです。つまり、DAZキャラクターをCC3に持ってきて化粧し、DAZに戻してDAZキャラクターとして販売するのは禁止です。

YouTubeで見ると、アルティミット・デジタルヒューマン 4-IN-1 セットの中のHUMAN ANATONY SETの赤ちゃんの肌がシミ一つない綺麗なテクスチャに見えたので、この肌をベースにしてモデリングしてみようと思いました。

参照記事
商用利用可といってもベンダーには使用禁止のアイテムが多すぎる
商用利用/改変/再配布可のフリー素材の配布サイト